魔天戦史


「……俺の一撃を耐えたか……強大な霊気が体を覆っているのか………」



「……なんて濃密な霊気なんだ……こんなプレイヤー…いまだかつて見たことが無い……」



「……三人は援護に回れ…」



「…なんですって……?」



「……お前達では、耐えられないからな……」



三人は、斗耶の気配を察して数歩下がった。斗耶が仮面を外して投げ捨てた。仮面の下には、オールバックの黒髪に、鋭い眼光の黒い瞳と、その精悍な顔つきは歴戦の戦士そのものだ。


斗耶は、両手を力無くだらりと下げて、意識を集中させた。斗耶の回りを、霊気が渦巻いていく。



「……選定の剣を抜きし、円卓の王よ……今、我が身に来たりて敵を討て……」



斗耶がそう唱えると、霊気の渦が、澄んだ蒼色から黄金に変わった。



「………来い…アーサー……!!」



斗耶が叫ぶと、上空まで立ち上ぼった黄金の霊気が、巨大で濃密な霊気の滝となって斗耶に降り注いだ。



「……アーサー……『騎士王』とも称される、騎士の象徴……!!」


「……流石、剣帝の名は伊達じゃないわね……」



三人が驚いていると、斗耶が霊気の滝を弾き飛ばして姿を現した。その姿は、黄金の髪と瞳に、純白の礼服とマントという、まさに中世の王といった風情の姿になっていた。そして右手に握った剣も、刃は白銀に煌めき、鍔の中央には宝石が埋め込まれている。



「……来い、勇翔…昔の様に、稽古と行こうじゃないか……」



斗耶がそう言って構えると、勇翔も剣を振りかざして斗耶に切りかかった。



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