魔天戦史
「……いくらお前でも、元帥五人を同時に相手には出来まい……」
「………アイリス…お前も、勇翔を連行する気か?」
「………大元帥の勅命なら…仕方ないわねぇ……」
アイリスはそう言って魔方陣を展開した。同時に憲蔵達もそれぞれ魔方陣や武器を構えた。
「………元帥として、的確な答えだ……だが、勇翔を連行させる訳にはいかない」
「……ならば、無理矢理にでも連れていくだけだ……!!」
憲蔵は魔法を放った。それを合図に他の兵士や元帥達も一斉に魔法を二人目掛けて放った。放たれた魔法は爆炎を上げて二人の姿を覆ってしまった。
「………これなら、身動き出来ないはず…」
「甘いな、憲蔵……」
「!?」
憲蔵が驚愕していると、爆炎が晴れた。中からは無傷の勇翔と斗耶、それと思いがけない二人がいた。
「………アイザック…仙石……!?」
それは、アイザック・シリウスと、仙石竜童だった。
「……言ったはずだ。大元帥の行動は予測できた………勇翔のことを狙って来るのもな……」
「良く言うよ……何も言わずに一人で先に来たくせに………」
「……ご無事で何よりです、斗耶さん……勇翔君もね」
「あ、はい………」
「……さっきのは、アイザックが防いだのか……だが、この人数を相手には……」
「相手になんかしないさ、師紀元帥」
「何……!?」
すると憲蔵達の目の前で、勇翔達の回りの空間が歪み始めた。
「空間転移か…!?」
「さらばだ、憲蔵……」
「く、待て……ッ!!」
だが、憲蔵が魔法を放つより早く、勇翔達の姿は消えていた………