魔天戦史
英雄王
「……やっとゆっくり話すことができるな……」
「……うん、父さん……」
勇翔は、アイザックの空間転移で別の場所に移動していた。側には斗耶とアイザックと仙石がいる。
「……二人は先に戻れ。仙石は封印の維持を頼む」
「分かりました」
「分かった」
二人は別々に歩いて行った。
「……ついて来い、勇翔」
「う、うん……」
勇翔は斗耶の後ろをついて行った。道中見ていた斗耶の背中は、ただただ懐かしかった。
そんなことを思っていると、斗耶がドアの前で止まった。危うく勇翔はぶつかりそうになったが、すんでのところで踏みとどまった。
「ここが、俺の部屋だ」
「!父さんの………」
斗耶はドアを開けた。中には洋風の質素な部屋が広がっている。斗耶は惚ける勇翔をよそにさっさと部屋の奥に行ってしまった。
「……綺麗な部屋だなぁ…」
「座らないのか?」
奥から斗耶が戻って来た。腰に帯びていた剣は外して側のテーブルに置いてある。斗耶は椅子に腰掛けた。勇翔も向かいの椅子に座った。剣はエクスカリバーと同じテーブルに置いた。しばらく二人は無言だったが、やがて勇翔から切り出した。
「……なんで、何も言わずにいなくなったの……?」
「………」
「父さんがいなくなってから、母さん…凄い大変だったんだよ……?」
「……悠里か…」
「…なのに、母さん一言も弱音言わないで………なんで、父さんは……ッ!!」
「悠里は知っていたぞ……?」
「………え……?」
斗耶の一言に勇翔は言葉を失った。
「……俺は、ある調査の為に姿を消した…」