魔天戦史
四帝
「来い、アーサー!!」
「来れ、不動明王!!」
二人が同時に降霊させて、同時に斬り掛かった。二人の剣は火花を散してぶつかりあっている。
「……今の内に…!!」
悠里は斗耶が緋凰を押さえている隙に逃げようと走り出した。だが憲蔵達に回り込まれてしまった。
「逃がさないぞ、悠里………!!」
「ッ…………!来れ、千手観音!!」
悠里は千手観音を降霊させて、憲蔵達に光の雨を放った。
「……悪足掻きを……ッ!!」
だがその雨は憲蔵の一撃がかき消してしまった。そしてその一瞬の隙を突いて、レオンが悠里に切りかかった。
「……かかったわね……!!」
「ッ!?」
レオンが悠里に切りかかったかと思った次の瞬間、レオンは憲蔵達の遥か後ろの廃ビルに突っ込んでいた。
「……なんだ…?」
憲蔵が目を凝らして見ると、悠里はそれまでとは明らかに違う姿をしていた。
手には長い槍を持ち、体の周囲には4本の光輝く腕が弓や剣を手にして浮遊している。何より、放つ霊気がさっきまでとは比べ物にならない。
「……なんだ…その姿は……?」
「……真性解放した、千手観音の姿よ…」
「真性解放……!?会得したのか!?」
「統合軍では習得が義務化されていないものね……貴方はおろか、元帥達全員会得していないでしょうね……」
「……厄介なものを……」
「……通してくれないなら…押し通るだけよ!」
悠里は二人に向かって駆け出した。
「………彼が、ヘンリー卿だよ」
勇翔は、アイザックと仙石と一緒にヘンリーに会っていた。