魔天戦史
青龍の蒼槍
「父さん……ッ!!」
「行きたまえ、勇翔君。悠里の方は…二人が何とかしてくれるだろう?」
ヘンリーはさり気なく仙石とアイザックを見た。二人は苦笑いしながらそれぞれの武器に手をかけた。
「……お任せを」
「もちろん」
二人はそれだけ行ってアイザックの空間転移でブリッジから姿を消した。
「……君も、斗耶のもとへ行くといい」
「…でも、相手は……」
「例え霊帝といえど、『極光の翼』の前には絶対ではない……」
「……極光の翼…?」
勇翔が聞き返すと、ヘンリーは穏やかな笑みを返した。そして体を脇にずらして道を開けた。
「……このまま、斗耶を見捨てるのかい?」
「………ッ!」
勇翔はヘンリーが開けた道を走っていった。
「……優しい子だ…調整の最終確認を急ぐぞ!!」
「……く………ッ!」
「…侮っていたな…ここまでの力を会得していたとは……だが…」
「……雷神体……ッ!」
憲蔵は、その全身を稲妻の様に光らせている。時折、その体からは雷が走っている。
「紫電属性最高峰の身体強化………その身を稲妻へと変え、雷の持つ最強の力を得る事ができる……良く今まで耐えたものだ……が、これで終わりだ…!!」
「そこまで慌てなくても良いんじゃないかなぁ、憲蔵……?」
「……ッ!?」
不意に聞こえたその声に憲蔵が振り返ると、そこには一対の刀を持った仙石が立っている。
「……仙石…ッ!!」
「……やれやれ…女性には優しくしないと、良い死に方しないよ……?だから………」
仙石はそう言いながら右手の刀を振るった。