魔天戦史
「……大丈夫か、勇翔……?」
「うん…ありがとう」
青龍は勇翔の周りから背後に回った。
「……流石だな…全く衰えていない…どうする、勇翔……?」
「……なんとかするしかないよね…」
勇翔はそう言ったが、緋凰との力量の差は青龍には良く分かった。青龍は顔を勇翔の耳元に近づけた。
「……エンシェント・アーツを使ってみるか?」
青龍の提案に勇翔は一瞬耳を疑って青龍の顔を見たが、すぐに視線を緋凰に戻した。
「……出来るのかな……」
エンシェント・アーツという力に勇翔は若干腰が引けていた。
「………君なら大丈夫だ…自信を持ちなさい……」
青龍はそう言って、体から淡い光を放った。
「大海を統べる我が力……今こそ君に託そう……」
そう言いながら青龍の体が青い閃光に変わっていき、勇翔の掌に集まっていく。
「……なんだ……?」
緋凰は勇翔が青い閃光に包まれていくのを黙して見ていた。
暫くして、閃光が静かに収束していった。
「……これは…」
勇翔の手の中には、一振りの槍が握られていた。その槍は穂先が三つ叉に分かれ、柄は美しい青色をしている。
「……凄い霊気だ…」
その槍からは、まるで槍自体が生きているかの様に濃密な霊気を帯びている。
「当然だ。この槍は私自身だからな」
「………!?」
なんと、その声は槍から体を通して響いてきた。
「……君ならやれる…自信を持て」
「……うん…!」
勇翔は槍を構えて、緋凰に躍り掛かった。