魔天戦史
「……強い…ッ!」
レオンは片膝をついて、剣を支えにしてアイザックを見据えている。シルヴィアも鎧が所々砕かれ、手にした槍はボロボロだ。
しかし対するアイザックは全く負傷していない。
「……時空間制御と、因果歪曲…まさか、ここまでモノにしていたなんて……」
「……これで分かっただろう?いくら二人がかりとはいえ、君達では私には適わない……斗耶さんの様に、空間ごと切り裂く力でもあれば、話は違っただろうけど……」
「……『黄金弾』、装填……ッ!」
アイザックの言葉を遮り、レオンは何かを口にした。それを聞いたアイザックは、耳を疑った。
「今……黄金弾と言ったか……!?」
「レ、レオン、それは……!?」
動揺するシルヴィアとアイザックの目の前で、レオンはその体を黄金に光らせていた。
『黄金弾を使うか……その力、いかほどの物か…見せて貰おうか……』
そう呟いたブルーホースも、蒼い体が黄金に輝き、目が紅蓮の光を放っている。
「……神霊装…セラフィム…!!」
ブルーホースに跨がるレオンは、全身に黄金に輝く鎧を纏っている。顔は無機質な仮面の様な兜に覆われている。右手には黄金の長剣を握り締め、左手には手綱を握っている。その姿からは、威圧感すら感じる。
「……レオン…」
…使わせてしまったわね……アイザックには傷一つ付けられず、レオンには神霊装を……
シルヴィアは自分の無力に歯がゆさを感じていた。
「……あれが、霊装を超える霊装と呼ばれた、神霊装……なるほど、確かにやっかいな……これほどの威圧感を放つ霊装は聞いたことが無い……」