魔天戦史
「今なら投降すれば命だけは助けてやれるかも知れんぞ?」
憲蔵は笑顔で左の拳を仙石に向けながら言った。
「…こんなに楽しいのに、投降なんて有り得ないよ」
仙石は提案を蹴って刀を構えた。
「……残念だ…」
憲蔵と仙石は同時に地面を蹴った。
悠里は仙石が憲蔵を抑えている間にヨルムンガルドに退避していた。中に入ると、ブリッジに通された。ブリッジではヘンリーが指揮を執っていた。
「…ん、悠里さんか。ご無事で何よりだ」
「ありがとう、ヘンリー君…斗耶さんは?」
「命に別状はない。今は治療カプセルに入っているが、暫くすれば完治するだろう」
「そう……勇翔君は?」
「……流石は、あなた達の息子だ。緋凰様相手に良く持ち堪えているよ…だが、少々厳しそうだ」
「……仕方無いわよねぇ……今行っても、私じゃ邪魔だものねぇ……」
「…正直、俺も自信が無いな……」
「!艦長ッ!!」
二人が思案していると、レーダーを見ていた部下が報告した。
「どうした!」
「レーダーに反応!これは…データ照合!ユリス元帥の第八師団です!!」
「ユリス元帥が来たか……無人兵器を展開しろ!主砲発射準備!主砲発射と同時に、無人兵器を敵艦隊の攻撃に回せ!!」
俄かにブリッジが慌ただしくなった。ヘンリーはユリスが来るのを待ち構えた。
「……ハッ…ハッ……!」
勇翔はかなり体力を削られていた。緋凰も僅かだが呼吸が荒くなっている。
「一気にやらないと……ハァッ!!」
勇翔は力を振り絞って緋凰に突撃した。だが、途中での攻撃で止まってしまった。煙が晴れるとそこには……
「………ッ!?」
そこには、蓮と京介がいた。