魔天戦史
決別
「メインエンジン、出力上昇!エネルギー充填まで、後30!」
「セル・ドラグーン、第2ブロックから第6ブロックまで展開準備完了!」
「エネルギー充填まで、後20!」
部下の報告を受け、ヘンリーが指揮を下す。
「船首回頭!主砲ファーブニル、起動!照準、第八師団艦隊中央!」
ヘンリーの号令と共に、ヨルムンガルドが向きを変えた。同時に、エンジンが轟音を発しながら主砲へとエネルギーを送っている。船首では、展開された主砲、ファーブニルがその内に膨大なエネルギーを溜め込んでいた。
「弾道修正!目標、敵艦隊中央!弾道修正良し!」
「エネルギー充填完了!」
「良し!主砲ファーブニル、てーッ!!」
ヘンリーの号令を待ちかねたかの様に、ファーブニルから巨大な光の奔流が第八師団の艦隊に向かって伸びていった。その光の奔流は、逃げる間の無かった艦船を悉く飲み込み、着弾の衝撃で出来た津波で更に広範囲の艦船を飲み込んだ。艦隊は端から見ても、甚大な被害を被った。
「ファーブニル、着弾を確認!敵艦隊の30%を撃破!」
「敵艦隊、残り空母2、戦艦9、護衛艦6、巡洋艦7!!」
「敵艦隊より、戦闘機とプレイヤーの離陸を確認!本艦へ急速接近中!」
「セル・ドラグーン、展開!!3分の1を本艦の護衛に残し、3分の1を敵艦隊へと向かわせろ!残りは戦闘機とプレイヤーの殲滅に回せ!!」
ヘンリーの指揮によって、セル・ドラグーン達が展開されていく。戦場に幾つもの光芒が煌めいては消えて行く。
「…こちらは持ち堪えられるか……勇翔君は…厄介なのに捕まった様だな…」
悠里とヘンリーが見るモニターでは、勇翔が京介と対面していた。