魔天戦史

二人は小屋を出た。勇翔と憲蔵も外に出た。
｢そうじゃ。ケルンは人化の術も習得しているから、何かあれば人化させるといい。｣

｢はい…お気をつけて…｣

｢…あぁ。｣

アルカディアとパラケルススはそれだけ言って空の彼方に消えた。
｢…俺達も本部に戻るか。訓練もしなければならないからな。｣

｢そうですね…よろしくね、ケルン。｣

｢ニャー｣

ケルンは短く鳴いて返事した。

｢取りあえずさっきヘリを呼んだが来るのは数分かかる。それまで、少し相手してやろう。｣

｢お願いします。｣

二人は小屋の裏手に回った。

｢お前は、まだ基本的な魔法すら知らんのだったな。｣

｢は、はい…｣

｢…まぁ、雷属性の基本的な魔法は雷を落とすか走らせるか…それと威力の強弱が加減出来れば習得できる。今見せてやろう。｣

憲蔵は右手を前にかざした。

｢…ライトニング！｣

するとそらから雷が二人の間に落ちた。

｢…す、凄い…!？｣

｢今のが、雷を落とすタイプの最も基本的な魔法だ。これの威力を上げると、落ちる範囲と破壊力を調整できる。次は走らせるタイプだ。｣

｢それなんですけど…走らせるっていうのは、一体どういうことですか？｣

｢まぁ、雷とは世間一般では空から地上に落ちるものだと認識されているが、魔法にそんな常識関係無い。｣

｢関係無いって…｣

｢魔法とは読んで字のごとく『悪魔の法』だ。常識が通じる悪魔などいないだろう？｣

｢…確かにそうですね…｣

｢…理解できたか？｣

｢はい。｣

｢雷を走らせるタイプは扱いが少し特殊でな。まず、どこに向けて雷を走らせたいのかイメージするんだ。それから、そこに向けて霊気で道筋を作る。そこを雷が走り抜けるというわけだ。見てろよ…｣

憲蔵は湖に向けて右手をかざした。

｢…ボルトランス!｣

すると右手から雷の槍が伸びて湖の上で霧散して消えた。