魔天戦史
大元帥は椅子に深く座った。

「…残る可能性は、『シヴァ』の目覚めがいつになるか、か…すでに片方は封印から目覚めた…後は、破壊の魔女の目覚めだが…精霊王達の接触もある…意外に早まるかも知れんな…」

大元帥は椅子から立ち上がってどこかに向かった。大元帥は地下深く、地下闘技場よりも更に下のところでエレベーターが止まった。
「…生体情報認識開始…認識完了しました。大元帥様ご本人と確認しました。」

エレベーターから機械的な音声が流れて、大元帥の生体情報を認識した。完了と同時にエレベーターのドアが開いた。エレベーターから出ると、大広間に出た。その先には、巨大な大樹が生えていた。
「…始まりの樹…お前なら、全てを知ることが出来るのか…?」

大元帥は右手を樹に伸ばした。樹に触れた手から、膨大な量の霊気が溢れ出た。

「…やはり、私では無理なのか…」

大元帥が手を離すと霊気の放出も止んだ。

「…『シヴァ』しか認めぬというのか…始まりの樹よ…」

しかしいくら語りかけても樹が答えることは無い。






憲蔵は一人、執務室に戻って来た。ドアを開けると、ソファ―に勇翔が座っていた。

「なんだ、ずっと居たのか?」

「あ、はい…下手に出歩く訳にもいかないと思ったので…」

「…そうか…丁度いい。話がある。」

憲蔵はドアを閉めて反対側のソファ―に座った。

「…近いうちに、大規模な作戦が行われることになった。俺以外の元帥も、全員出撃することになるだろう…お前は学園に戻れ。」

「…そんな…!?どうしてですか!?」

「お前の軍籍は用意しておく。だからお前は学園に戻れ。お前は軍属とはいえ、まだ一般人と大して変わらない…これは命令だ。」

「…分かりました…」

勇翔はそれから二日後、学園に戻って行った。
< 66 / 304 >

この作品をシェア

pagetop