【BL】一晩のxx【短編】
「えっと…」
誰だっけ、この人。初対面じゃない?
もし俺が忘れているだけだったらかなり申し訳ない。
そんな俺に気付いたのか、
「ちょっと離れた所に座って飲んでた。さっきからビールばっか頼んで、一人で何か言ってるしちょっと心配になっただけ」
「は、はあ…」
見知らぬ人の心配をするなんて、変わった人だ。と思いながら、その人が置いてくれた水を飲んだ。
「おっ相田さん!あとはよろしくな!」
「はいはーい」
どうやら相田さんというらしい男性は、この店の常連客のようだ。
店長と会話すると、「いつもの」と注文していた。
「名前は?」
勝手に俺の大好きな枝豆をつまみながら俺を横目で見ながらそう言った。
綺麗な黒髪、筋の通った高い鼻、何でも見透かしているかのような瞳。
大人っぽい人だ。多分、年上だと思う。
「滝本翔(たきもとしょう)です」
相田さんは「ふーん」と言いながらまた俺の枝豆を取ろうとした。
「それ、俺のなんですけど!何勝手に普通に食ってんですか!」
「んなこと気にすんなよ。話聞いてやるから枝豆くらい食わせろ」
なんという上から目線。