【完】俺だけを愛して溺れろ。

*Act.1




あたしは、石のように固まっていた。



もう、呆れが宙返りをして、二の句が継げない。



嗚呼、後頭部を金の金槌で殴られたかのような衝撃。



きっと、あたしの目の前で呆然と立ち尽くしている彼の方が、予期していなかった事態だったと思う。



あたし、今屋上で思いを寄せていた九条君に告白されたよね?



そして、両想いになったんだよね?



あれ?



おかしいなぁ。



もう一度確認するけど、九条君はあたしの目の前にいるよね?



なら、何故あたしは背後から腰を引き寄せられている?



……この腕はナンデスカ?



< 2 / 357 >

この作品をシェア

pagetop