【完】俺だけを愛して溺れろ。
近付いて来たのが蒼空なら、離れて行くのも蒼空。
『(もう二度と下の名前で呼んではくれない)』
あたしは深く息を吐き出し、ゆっくりと立ち上がる。
“それ”を望んだのも、あたし。
蒼空を引き留める理由がない。
あたしはテーブルの際(きわ)に立ち止まる。
はぁ、食べかけの二皿のオムライス、どうしよう。
あたしの分は後で食べるとして、蒼空の分は――…捨てよう。
そして、二皿を手に取った時、ふとお揃いのマグカップが目に入る。
キスしている可愛い二匹の豚。
“これ、可愛いと思わない?”
“俺たちにそっくり”
“このマグカップ、俺たちにピッタリだろ?”