【完】俺だけを愛して溺れろ。
弾かれるように顔を上げれば、
「……」
『っ、』
わずかに眉尻を下げ、目を細めて切なげに微笑みながらあたしを見る蒼空が目に映った。
あたしが素直な心の持ち主でなかった所為で生まれた誤解。
あたしは蒼空に真剣な眼差しを向ける。
“違う”
首を横に振りながら、その言葉を口パクで伝える。
まぁ、分かり切っていたことだけど、一度で伝わるわけがない。
蒼空は眉根を寄せて、“もう一回”という視線をあたしに送る。