【完】俺だけを愛して溺れろ。
* * *
ほんと、あたしは度胸もなければ勇気もない。
チャイムを鳴らせば、眼前のドアの向こう側から蒼空が出てくるのに。
臆病風に吹かれているあたしはチャイムを鳴らすことが出来ず、意味もなく佇んでいた。
きっと、自分の気持ちを素直に口に出すことが出来ない。
だから、クリスマスプレゼントが入っているシンプルなデザインの小さな紙袋に手紙を忍ばせた。
その判断は正しかったとつくづく思う。
それでも、チャイムを鳴らすことに躊躇しているあたしは滑稽だ。
思わず盛大なため息が洩れる。