【完】俺だけを愛して溺れろ。
あたしは以前と変わらず、ちゃんと下の名前で呼んでくれたことが心底嬉しくて、嬉しくて……。
自然と顔が綻んだ。
『今日、クリスマスだね』
「そ、そうだな……?」
全く状況を把握出来ていない蒼空は、まだきょとんとしている。
それが何だかおかしくて、ついクスリと小さく笑ってしまった。
「……え?何で、笑ってんの?」
『いや、何でもない。それより、はい!クリスマスプレゼント』
あたしは、はにかみながら紙袋を持ち上げる。
意表を突かれた蒼空は、実に間抜けな面だった。