【完】俺だけを愛して溺れろ。



もし受け取ってくれなかったらどうしようと、内心びくびくしていたのでほっとした。



たとえ、仕方なく受け取ったとしても……。



「なぁ、凜。家に上がる?」



『え……?』



「こんな寒いところにいたら、風邪引くよ?」



『……、』



何で、そんなに優しく微笑みかけるの?



お願いだから、期待させるようなことしないで。



中途半端な優しさなんかいらない。



いらないよ……。



酷く泣きたくなったあたしは、眉尻を下げて俯(うつむ)く。


< 271 / 357 >

この作品をシェア

pagetop