【完】俺だけを愛して溺れろ。
もし受け取ってくれなかったらどうしようと、内心びくびくしていたのでほっとした。
たとえ、仕方なく受け取ったとしても……。
「なぁ、凜。家に上がる?」
『え……?』
「こんな寒いところにいたら、風邪引くよ?」
『……、』
何で、そんなに優しく微笑みかけるの?
お願いだから、期待させるようなことしないで。
中途半端な優しさなんかいらない。
いらないよ……。
酷く泣きたくなったあたしは、眉尻を下げて俯(うつむ)く。