【完】俺だけを愛して溺れろ。



あたしは眉尻を少し下げて小さく手を振ると、洸太は微笑してあたしに背を向ける。



そして、だんだん小さくなっていく洸太の後ろ姿に、ゆっくりと白い息を吐き出した。



……うん。



疲れが溜まりすぎて、口から溢れ出たね。



今日はもう寝たい。



全身が怠い。



究極の選択を二度もした。



あー、エネルギー不足だ。



頭(こうべ)を垂れながら、一段一段重い足取りで階段を上がる。



頬を掠める冷たい風。


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