【完】俺だけを愛して溺れろ。
『(ゔー、寒い)』
吐いた息で両手を擦りながら、自分の部屋の番号を確認する為に視線を上げた。
刹那――。
『――っ!?』
目を疑い息を呑んだ。
さっきまでの極度の疲れも一瞬にして吹っ飛ぶ。
『(嘘、でしょ……?)』
視線の先には、あたしの部屋のドアにもたれながら寒そうに首をすくめ、力のない瞳で漆黒の空を仰ぎ見ている男。
『蒼空……?』
小さく呟いたあたしの声に気付いたらしく、こちらに視線を向ける蒼空。