【完】俺だけを愛して溺れろ。



蒼空はあたしの後頭部を押さえ、無理矢理上げていた顔を自分の肩口に埋める。



何で、こういう状況になっているの?



ただでさえ、理解が追い付いていないのに。



「あの手紙、何?」



容赦ない質問を食らう。



今のあたしの精一杯の言葉を吐き出そうとするが、声が出ない。



動揺すればするほど、頭の中が真っ白になる一方で……。



あたしは口を閉ざしたまま、ぎゅっと蒼空のコートを掴む。



すると、蒼空は痛いくらいあたしを抱き締めた。


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