【完】俺だけを愛して溺れろ。



「渡したいものがあるんだ」



そう言って、コートのポケットに手を突っ込む蒼空。



『(渡したいもの?はて、何だろう)』



蒼空のポケットから取り出すものを凝視する。



『……箱?』



「まぁ、箱なんだけど」



蒼空は苦笑しながら、あたしに手のひらサイズの箱を手渡す。



「ほら、早く開けなよ」



『え?あ、うん』



何故か急き立てるので、期待で動悸が激しくなることなく、普通にリボンをほどいて包装紙をはぐ。


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