【完】俺だけを愛して溺れろ。
「むしろ、言ってほしかったなぁー」
『はっ?』
「俺につけてほしいんでしょ?ピアス」
蒼空は上機嫌な顔で、呆然としているあたしの髪をすいて、耳をあらわにした。
どうやら、そのピアスをあたしにつけようとしているらしく……って、はぁん!?
焦りが湧き上がったあたしは、慌ててぶんぶんと頭を振る。
「ちょっ、動くなって。つけられないんだけど」
『いや、いいって』
「え?ごめん。聞こえなーい」
無邪気に笑う蒼空が、あたしに顔を近付けたことでさらに動揺する。