【完】俺だけを愛して溺れろ。



鬼の形相で睨めば、蒼空はあたしから目を逸らし、不機嫌そうに膨れっ面をしていて……。



『(何故、拗ねてる?)』



不思議に思ったあたしは、訝しげに眉根を寄せる。



もしかして、あたし。



耳が遠くなったのかな?



だって、蒼空の発言とその行動が合わない……。



『(え?どういうこと?)』



頭が混乱して、わけがわからなくなっている、と。



「俺がいるんだから、あの男と別れろよ」



ぽつりと呟く蒼空。



この言葉でようやく意味を理解したあたしは、クスリと笑みが溢れる。


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