【完】俺だけを愛して溺れろ。



まるで泣いているみたいに弱々しい声。



蒼空は寂しそうな、辛そうな表情を張り付けた。




『(また、勘違いしてる)』



困ったようにため息を吐き出し、背伸びをして思い切り蒼空の額にデコピンを食らわす。



『ばっかじゃないの?』



「は……?」



『断ったに決まってるでしょ』



おでこを押さえている蒼空は、ぽかんと口を開ける。



その間抜け面に、小さく噴き出した。


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