【完】俺だけを愛して溺れろ。
てか、今まで女を美人だと思ったことがないのに、女嫌いの俺がそう思ったこと自体がおかしいだろ。
俺はあり得ないと顔を顰めて、もう一度凜という女を見据える。
「(この人、)」
偽りの笑顔だ。
本当の自分を隠してる。
俺と同じ、その場を繕(つくろ)ってる。
「……おもしれぇ」
この女の――凜の本当の笑顔が見てみたい。
何故か、そう思ってしまった。
けど、今ではその理由も分かる。
一目惚れしたことに気付かなかったんだ。
いや、気付けなかった。
この時の俺は……。