【完】俺だけを愛して溺れろ。
「俺はちっとも気付いてくれない、凜の無神経なところにたまにイラッとする」
『……は?』
「……」
『ねぇ、直接的に言えないわけ?』
「……」
『何で何も言わないのよ……』
額に手を当て、ため息混じりに言葉を吐き出す。
――あぁ、分かり切っていたことか。
運命的出会いでなければ、必然的出会いでもない。
あたし達は、交わることのない平行線上を歩いているんだ。
この日の喧嘩は、珍しくあたしの胸が酷く痛んだ。