【完】俺だけを愛して溺れろ。



「一個180円ね」



目尻に出来るシワを惜しむことなく強調させながらにっこりと微笑むおばちゃんに、『やっぱり、焼きそばパンが食べたいです』と言う勇気など、あたしには持ち合わせていない。



あぁ、もうカツサンドでいいや。



あたしは財布からお金を取り出そうとすると、



「今日は俺が奢るから良いよ」



そう言って、中島はおばちゃんに2人分の代金を渡した。



まぁ、昼飯代が浮くのは真に嬉しいことだけど……。



『本当にいいの?それくらい、あたし払うから』



「いや、いいよ。ほら、カツサンド」



『……あ、ありがと』



そう素直にお礼を言ってから、カツサンドを受け取る。


< 74 / 357 >

この作品をシェア

pagetop