一緒に暮らそう
 芹菜は一人で店にやってきた。彼女は家族と一緒に大阪へ来たのだが、紗恵と会っている間、夫が子どもたちをUSJに連れていってくれている。

 彼女が店に入ってきた。紗恵の姿を見つけると、顔いっぱいに笑顔を浮かべて近寄ってきた。
 ヒョウ柄のカットソーにホットパンツ、クラディエーターサンダルという出で立ち。茶色く染めた髪の上にサングラスを載せている。相変わらずの自己を主張するファッションだ。

「さえ~。ひさしぶり~。元気そうじゃん」
 芹菜が両手を紗恵のそれに当ててくる。
「芹菜こそ変わらないね」
「あたしは元気だよ」
「旦那さんと子どもたちは?」
「変わらないよ。今、USJで遊んでるよ」
「悪かったね。家族旅行の時に時間を割いてもらって」
「いいの、いいの。全然いいって。あたしはあんたに会える方が大事だから」
 
 コーヒーショップはビルの高層階にあって書店の隣に位置している。長居できる店なので、隣で買った本を持ち込んでいる客も多い。
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