一緒に暮らそう
「でも、びっくりしたよ。急に神戸に引っ越すっていうからさ。あん時、あたしも子どもの入学式の準備とかあったし、お見送りに行けなかったんだよね」
「そんなの別にいいって。本当に急な思い付きだったんだから」
「でも、何でまた引っ越そうなんて思ったのよ? 東京になら住んだことがあるけど、神戸なんて縁もゆかりもない所でしょ。あたしだってあんたがこっち方面に住んでなきゃ、関西に遊びに来ることなんてなかったよ」
 友達にしごくもっともなことをたずねられ、紗恵はこれまでのいきさつを洗いざらい話した。追い詰められた状況、新多との出会い、そして最近の状況について。芹菜は彼女の話を興味津々で聞いていた。
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