一緒に暮らそう
「ねえ、紗恵。斉藤さん、本当に大丈夫かな。だって最近全然会ってくれないんでしょ。いくら病み上がりで忙しいからって、そんなに長いこと会わないって変じゃない?」
「そうかな」
「あたしはあんたが年上のエリートに遊ばれてるんじゃないかって心配なんだよ。あんたはさ、ほら、うぶなところがあるからさ、昔男でひどい目にあったじゃん。ろくでもない男に入れ込んじゃうっていうか信じちゃうっていうかさ。都合よく遊ばれて捨てられたりしやしないか心配だよ」
 芹菜がボリュームアップしたまつ毛をしばたたかせながら言う。
「芹菜。斉藤さんは元彼とは全然違う人だよ。180度違う」
「そうは言うけど、例の同僚の女がいるじゃん。もしかしたら彼、その女に乗り換えちゃうかもよ。だって、彼女は彼と同じようなスペックの女なんでしょ。遊ぶならともかく、結婚するなら自分と同じレベルの女の方がいいって思ってるかもよ、彼。男ってそういうずるいとこあるから」
「芹菜。いいかげんおどかすのはやめてよ。ホームの入居者の人だって、恋愛に肩書は関係ないって言ってたよ」
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