一緒に暮らそう
 上着を羽織って寮の外に出ると、門の前に新多の黒い四駆が泊まっていた。
 そして、長身の新多が車のドアにもたれかかっていた。
 プライベートの彼はポロシャツにチノパンという姿だ。
 目の前にいるのはまぎれもなく彼だ。

「斉藤さん!」
 紗恵が声を掛けると、新多がにっこりと笑った。
「久しぶり!」
「びっくりしたわ。あなたがまさか今日ここに来るなんて」
「夜分遅くに悪いね」
「あなたこそ。今日は遠出をして疲れてるんじゃないの」
「そうでもないよ。腐らない内にお土産渡したかったんだ。これ、生ものだから」
 彼は土産の入ったレジ袋を紗恵に差し出す。これを渡すためだけに、彼は京都から二時間以上かけて高速を運転してきたというのか。
「はい。京都名物の生麩まんじゅう」
「ありがとう」
「ちょっと30分ほど付き合ってくれないか」
「いいわ」
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