一緒に暮らそう
「ずいぶん若い彼女を見つけたものね。10歳くらい離れているんじゃないの」
「ああ見えて彼女、もう30になる」
「あらそうなの! 彼女、今年で30なの!」
見てくれはどう見ても二十代半ばだ。実年齢より若く見えるなんてうらやましい。
「どこで知り合ったの?」
まさかキャバクラだというのではないだろう。
「惣菜屋。彼女、自営で惣菜屋をやってたんだ。前に住んでいた町で、仕事帰りによく寄ってた」
「へえ。そうだったの」
どおりで家庭料理を作るのが上手いわけだ。それにしても、単なる行きつけの店の姉ちゃんを、この朴念仁がよく誘ったものだ。いや、もしかしたら彼女の方から彼を誘ったのかもしれない。一流企業の研究員でイケメンときたら、放ってはおけないだろう。
「この春、彼女は店を畳んであなたについてきたってわけね。それってよっぽどじゃない?」
「まあ、それには紆余曲折があってね」
そこで新多は言葉を濁す。紆余曲折って一体何があったというのか。彼は何故その経緯を話さないのだろうか。まさか今は公にできない事情があるとか。もしかして二人は近々結婚するつもりなのだろうか。
翔子の胸の中では潮流が逆巻いていた。
「ああ見えて彼女、もう30になる」
「あらそうなの! 彼女、今年で30なの!」
見てくれはどう見ても二十代半ばだ。実年齢より若く見えるなんてうらやましい。
「どこで知り合ったの?」
まさかキャバクラだというのではないだろう。
「惣菜屋。彼女、自営で惣菜屋をやってたんだ。前に住んでいた町で、仕事帰りによく寄ってた」
「へえ。そうだったの」
どおりで家庭料理を作るのが上手いわけだ。それにしても、単なる行きつけの店の姉ちゃんを、この朴念仁がよく誘ったものだ。いや、もしかしたら彼女の方から彼を誘ったのかもしれない。一流企業の研究員でイケメンときたら、放ってはおけないだろう。
「この春、彼女は店を畳んであなたについてきたってわけね。それってよっぽどじゃない?」
「まあ、それには紆余曲折があってね」
そこで新多は言葉を濁す。紆余曲折って一体何があったというのか。彼は何故その経緯を話さないのだろうか。まさか今は公にできない事情があるとか。もしかして二人は近々結婚するつもりなのだろうか。
翔子の胸の中では潮流が逆巻いていた。