一緒に暮らそう
 新多の表情から笑みが消える。それでも、翔子は言葉を続ける。
「彼女は元キャバクラ嬢で、地場産業の社長令息の愛人とも噂される人。東京で夜の仕事をしていた時も、金持ちの男を手玉に取ってお手当てをもらっていたとか。それって垣内さんのことでしょ」
 翔子の問いに新多は何も返さない。
「余計なことを言ってると思われるのは承知よ。でも言わずにはいられないのよ。だって、あなたは昔からの大切な友達だもの。彼女みたいな人はまずいと思うのよ」
 ついに言ってしまった。
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