一緒に暮らそう
 彼女にとって、新多と迎える週末の朝は至福の時だ。

 今朝も二人は、ベッドの中で朝寝坊をしてまどろんでいる。窓から差し込む午前中の金色の光が気持ちいい。
 傍らで眠る彼の高い鼻梁、あごのライン、掛布団の上に出されたたくましい腕を眺めるのが好きだ。本人が起きている時は、相手をじっくりと見ることなんて恥ずかしくてできないから。

 こんな日は大抵、紗恵は彼よりも早く床を抜け出して朝ごはん兼昼ごはんを作る。
 最近のヘビーローテーションはパンケーキだ。朝食は和食派の彼だけど、洋風ブランチに付き合わせている。
 メインディッシュの卵料理にカリカリに焼いたベーコンを添える。熱々のパンケーキの上にバターをのせ、その上からメイプルシロップをかける。ヨーグルトにはプラムのコンポートをのせる。

 しばらくして、コーヒーの香りで目を覚ました新多がダイニングに現れる。
 彼は紗恵の作るものに、「まるでホテルの朝食みたいだ」と言って喜んでくれる。また、「何でホットケーキのことをパンケーキと呼ぶのか」とたずねてくる。
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