一緒に暮らそう
「はい、これ」
 紗恵の目の前にトルコキキョウの花束とリボンの巻かれた箱を差し出す。トルコキキョウは7月の花だ。
「30回目の誕生日をおめでとう」
 新多は何故か目を伏せて、彼女の目を直視しないでいる。

「あ、ありがとう。覚えててくれたんだ、誕生日」
 紗恵は目の前のプレゼントを受け取る。突然のことでちょっと驚いた。
「箱、今開けてもいい?」
「もちろん」
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