一緒に暮らそう
 デパートを出た翔子は、5メートルほど新多の後ろを歩いていた。二人とも最寄駅に向かっているので、同じ方向に進んでいるのだ。
 彼女はその長身の広い背中を見つめた。かつてはすぐそばにいたその存在が、今ではとても遠い所にあるように感じられる。
 先刻、自分と新多はお似合いだと同僚が言っていた。正直、うれしい。本当にまた彼と付き合うことができたらどれほどうれしいだろうか。

 雨が降ってきた。結構雨脚が強い。
 天気予報をチェックするのを忘れたので、傘を持ってきていない。ノースリーブを着ている時に雨に降られるのはきつい。

 新多が後ろを振り返った。彼が翔子の存在に気付く。
 彼は立ち止って、彼女が自分に追いつくのを待った。
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