一緒に暮らそう

　この男に吹聴された不名誉な噂のせいで、紗恵の店には下心を持った輩が時折訪れた。六十過ぎの商店主に食事に誘われたこともあれば、ヤンキー上がりの同級生に言い寄られたこともあった。皆、紗恵のことをイージーだと思って接近してきたが、あの堀込よりはマシだった。彼らは紗恵が逃げ続けているといい加減あきらめて去っていく。

　だが、堀込は未だにしつこく言い寄ってくるからたちが悪い。特に、手を出した地元のキャバクラ嬢や風俗嬢と切れた時、女が欲しくなって紗恵のもとに姿を現す。そして、高級レストランに予約しただの、悪趣味なブランドバッグをプレゼントするなどと迫っては、多忙な彼女を困らせていた。この男には何度店の営業を妨害されたことか！