一緒に暮らそう

　先日も堀込が紗恵の店に現れた。小春日和のよく晴れた日の午後のことだった。まったくいい大人が平日の真っ昼間から一体何をしているのだろう。父親の土建会社ではほとんど名ばかりの専務かなんかを務めているのだろう。彼は大きなバラの花束を抱えてやってきて、紗恵をしつこく誘ったが、彼女は以前よりもはっきりした態度でそれをはねつけた。店の営業に障るから引き取ってほしいとまで言った。こういうタイプにははっきり言わないとわからない。

　もはや惚れたはれたの問題ではなく、堀込は紗恵を落とすことに意地になっているのである。何でも手に入れてきた彼は、なかなか落ちない女を落とすことに躍起になっている。きっと彼女をものしたらしたで、そのうち飽きて捨ててしまうだろう。まあそれを差し引いたとしても、関わり合いにはなりたくない男だ。

　去り際に、堀込は紗恵を口汚くののしった。彼は山より高いプライドを傷つけられたのだ。