一緒に暮らそう
「私、あの、ちょっと考えないと」
「もちろん。よく考えて決めたらええ」
 紗恵の動揺を尻目に、中山さんは笑みを浮かべている。彼はきっと紗恵が自分のオファーに喜んでいるのだと思っているに違いない。
「中山さん。お菓子ありがとうございました」
 彼女はぺこりと頭を下げ、放心状態のまま厨房に戻った。中山さんの話はありがたいけれど、今頃そんな話を持ってこられても、正直困ってしまう。


 結婚と新多のアメリカ赴任に向かって、もう計画は進んでいるのだ。
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