一緒に暮らそう
 千葉に来たついでに、結婚式が数か月後に迫っているので、二人は結婚式の会場として選んだ幕張にある高級ホテルへ打ち合わせをしにいった。申し訳なくもありがたいことに、結婚式の費用は新多と両親の持ちである。二人は新婚カップルならではの、引き出物やコース料理のメニュー選び、式の打ち合わせをした。関西に住む二人がそのホテルへ来ることは困難なので、打ち合わせは一日がかりの長丁場となった。
 紗恵にとっては、衣装室でウェディングドレスの試着をするのは楽しかった。数年来シングルライフを送っていた自分が、まさか純白の花嫁衣装に身を包む日が来るなんて思わなかった。新多の厚意で、紗恵は白いオーソドックスなウェディングドレスの他に、打掛とカラードレスも着ることになった。紗恵の選んだのは、中世ヨーロッバ風のハイウェストのホワイトドレスで、全体にチュールレースがあしらわれている。パフスリーブの袖も可愛く、切り替えの部分にはシルクのリボンが縫いこまれている。結婚式ではマリアベールを被り、披露宴ではブルーの小花が散った白牡丹の髪飾りを着ける予定だ。なんでも、結婚式ではブルーを取り入れた装飾品を身に着けると縁起が良いのだそうだ。

 結婚式は新多の実家がある千葉で挙げるが、二次会は新多の勤務地である神戸で催すことにした。そうすれば、新多は同僚も大学時代の同級生で関西に残っている友人たちも呼べる。幹事は新多の学生時代の友人が務めてくれることになり、彼は夜がバーになるスペイン料理店を押さえてくれた。
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