一緒に暮らそう
「初めまして。結城です」
オーナーが名刺を差し出したので、紗恵は両手でそれを受け取った。
「初めまして。垣内です。どうぞよろしくお願いします」
オーナーは紗恵を椅子に座らせ、話を始めた。
「中山さんからあなたのことを聞いていましたよ。カフェで仕事がしたいそうですね」
「はい」
現在進行中で結婚式の打ち合わせをしているというのに、そんな返事をしてしまう紗恵がいた。
「飲食店での経験があると伺っていましたけど」
「はい。地元の洋食店で調理スタッフのアルバイトを3年ほどして、それからは自営で惣菜店を4年間やっていました」
「ああ、お惣菜屋さんね。カフェでのお仕事は惣菜屋とは違うけど大丈夫ですか。うちは小さいカフェだから、手の空いた時はアルバイトさんを手伝って給仕をすることもあるんですよ。調理だけではなく、市場や業務用スーパーまで仕入れにも行ってもらいます。アルバイトの時はメニューを作るだけで良かったでしょう?」
「仕入れなら惣菜店をしていた時にもしていました。運転免許も持っていますから、車で仕入れにもいけます」
「そう。それなら大丈夫そうですね。洋食屋さんでは何を作っていたのですか。調理師免許は?」
「洋食屋というか国道沿いのドライブインで働いていたんです。街道を走るトラックドライバーさんたちを相手に、ハンバーグやカレーライス、スパゲッティなんかを作っていました。調理師免許はありません。ですが、東京の調理師専門学校で西洋料理を専攻していました」
「まあ、調理師専門学校を出ているのですね」
「いえ、まあ、お金が続かなくて卒業はできませんでしたけど、一通りのコースワークは履修しました」
専門学校を中退した詳しい経緯は話せなかったけれど、紗恵が今言ったことは嘘ではない。
オーナーが名刺を差し出したので、紗恵は両手でそれを受け取った。
「初めまして。垣内です。どうぞよろしくお願いします」
オーナーは紗恵を椅子に座らせ、話を始めた。
「中山さんからあなたのことを聞いていましたよ。カフェで仕事がしたいそうですね」
「はい」
現在進行中で結婚式の打ち合わせをしているというのに、そんな返事をしてしまう紗恵がいた。
「飲食店での経験があると伺っていましたけど」
「はい。地元の洋食店で調理スタッフのアルバイトを3年ほどして、それからは自営で惣菜店を4年間やっていました」
「ああ、お惣菜屋さんね。カフェでのお仕事は惣菜屋とは違うけど大丈夫ですか。うちは小さいカフェだから、手の空いた時はアルバイトさんを手伝って給仕をすることもあるんですよ。調理だけではなく、市場や業務用スーパーまで仕入れにも行ってもらいます。アルバイトの時はメニューを作るだけで良かったでしょう?」
「仕入れなら惣菜店をしていた時にもしていました。運転免許も持っていますから、車で仕入れにもいけます」
「そう。それなら大丈夫そうですね。洋食屋さんでは何を作っていたのですか。調理師免許は?」
「洋食屋というか国道沿いのドライブインで働いていたんです。街道を走るトラックドライバーさんたちを相手に、ハンバーグやカレーライス、スパゲッティなんかを作っていました。調理師免許はありません。ですが、東京の調理師専門学校で西洋料理を専攻していました」
「まあ、調理師専門学校を出ているのですね」
「いえ、まあ、お金が続かなくて卒業はできませんでしたけど、一通りのコースワークは履修しました」
専門学校を中退した詳しい経緯は話せなかったけれど、紗恵が今言ったことは嘘ではない。