一緒に暮らそう
新多についてアメリカに行きたい気持ちはやまやまである。それに、いくらカフェで働くことが夢だといっても、その夢のために新多と離れ離れになってしまうならあきらめた方がいい。その気持ちは本当だ。
ただ、紗恵は彼女の育ての親である祖母のことを考えたのだ。紗恵が高校を出た後、祖母は料理を学びたいという孫のために、亡き祖父が残した虎の子の貯金をはたいて、孫を東京の専門学校へ行かせてくれた。年老いた祖母にそこまでさせたのに、紗恵は学業を修めることなく学校を中退してしまった。そのことをずっと悔やんでいた彼女は、料理の仕事で何がしかの成果を得て、祖母の恩に報いたいと考えていたのだ。
新多は恋人の話を黙って聞いていた。話を一通り聞き終えると、彼は彼女に優しく言った。彼女が考え抜いて出した結論なら、自分もそれを支持すると言った。思いの外、彼は彼女の意見に反対しなかった。
予定通り、結婚式は年が明けた2月に挙げることにした。もしも来年の春から離れて暮らすことになっても、夫婦になりたいという気持ちに変わりはない。新多は新婚早々単身赴任をすることになるかもしれない。
ただ、紗恵は彼女の育ての親である祖母のことを考えたのだ。紗恵が高校を出た後、祖母は料理を学びたいという孫のために、亡き祖父が残した虎の子の貯金をはたいて、孫を東京の専門学校へ行かせてくれた。年老いた祖母にそこまでさせたのに、紗恵は学業を修めることなく学校を中退してしまった。そのことをずっと悔やんでいた彼女は、料理の仕事で何がしかの成果を得て、祖母の恩に報いたいと考えていたのだ。
新多は恋人の話を黙って聞いていた。話を一通り聞き終えると、彼は彼女に優しく言った。彼女が考え抜いて出した結論なら、自分もそれを支持すると言った。思いの外、彼は彼女の意見に反対しなかった。
予定通り、結婚式は年が明けた2月に挙げることにした。もしも来年の春から離れて暮らすことになっても、夫婦になりたいという気持ちに変わりはない。新多は新婚早々単身赴任をすることになるかもしれない。