一緒に暮らそう
 台所におばあちゃんがいた。
 
 昔ながらのガス炊飯器で炊いた、ホカホカの新米でおにぎりを作ってくれている。
 おばあちゃんは、ご飯がまだ熱いうちにおにぎりを握る。

「おばあちゃん。手は熱くないの?」
 傍らでのぞき込んでいる紗恵が訊く。
「そりゃあ熱いよ。でもね。熱いうちに結ばないと、ふっくらしたおにぎりが結べないんだよ。冷めてからじゃご飯の粒が固くなっちゃうからね」
 おばあちゃんが優しく答える。
「ふーん」
 紗恵は不思議そうにおばあちゃんの手元を見上げている。

「あたしも大きくなったらこういうのが作れるようになるのかな?」
「そりゃ、もちろん。紗恵は料理上手ないいお嫁さんになるよ」
「本当に?」
「もちろん。このおばあちゃんが言うんだから本当さ」
 紗恵はとてもうれしくなった。

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