一緒に暮らそう
「そら、お上がり」
 紗恵の手元に出来立てのおにぎりが差し出された。
 つやつやのご飯の上に、パリッとした海苔が巻かれている。小さな両手におにぎりの温かみが伝わってくる。
「うわぁ、いいにおい! おいしそう!」
 
 そこで世界は突然終わった。
 後は何もない。
 
 久しぶりに見たおばあちゃんの夢だった。
 頭は寝ぼけたままだったけど、急に涙がこみ上げてきた。
 壁の時計を見たらまだ午前2時だった。
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