一緒に暮らそう
新多は箸を止め、腕組みをしている。
「老人ホームの常勤職員の仕事はすごく忙しいんじゃないのか。まして、街から離れた場所に住んでいたら、その仕事をしながら望みの仕事に転職する余裕なんてないと思うな」
「……そうかもしれません」
紗恵はうなだれた。
「前から言ってあるけど、このマンションには好きなだけ滞在していいんだ。俺には、君をあの町から連れ出してきた責任がある。君は納得のいく仕事を見つけるまでここにいるべきだ。もしかして君は遠慮しているんじゃないか」
新多の問いに紗恵は何も答えない。
「君はうちのことをやってくれている。それで十分俺は報われている」
考えてみれば、赤の他人の家に暮らすなど肩身の狭いことだ。紗恵の気持ちもわからないでもないが、聞くからに厳しそうな労働環境に慌てて飛び込むことはない。
「君がどうしてもその仕事に就きたいのなら、俺にそれを止める権利はない。でも、長い目で見て何が自分にとって最善の選択になるのかをよく考えてほしい」
「老人ホームの常勤職員の仕事はすごく忙しいんじゃないのか。まして、街から離れた場所に住んでいたら、その仕事をしながら望みの仕事に転職する余裕なんてないと思うな」
「……そうかもしれません」
紗恵はうなだれた。
「前から言ってあるけど、このマンションには好きなだけ滞在していいんだ。俺には、君をあの町から連れ出してきた責任がある。君は納得のいく仕事を見つけるまでここにいるべきだ。もしかして君は遠慮しているんじゃないか」
新多の問いに紗恵は何も答えない。
「君はうちのことをやってくれている。それで十分俺は報われている」
考えてみれば、赤の他人の家に暮らすなど肩身の狭いことだ。紗恵の気持ちもわからないでもないが、聞くからに厳しそうな労働環境に慌てて飛び込むことはない。
「君がどうしてもその仕事に就きたいのなら、俺にそれを止める権利はない。でも、長い目で見て何が自分にとって最善の選択になるのかをよく考えてほしい」