一緒に暮らそう
「おかしいな」
 新多が天井を見ながらつぶやく。
「彼女が来たような気がして目が覚めた。夢だったのかもしれないな」
「そう」
 翔子がドキッとする。
「さあさあ。お腹が空いてきたんじゃないの。お台所を借りて、梅がゆを作ったわ。食べてちょうだいね」
「翔子。気を遣わなくていいと言ってるだろう。自分のことは自分でできる元気はある」
「そんな固いこと言わないで。せっかく作ったんだから食べてちょうだい。12年来の友達でしょ。困った時助け合うのはお互い様よ」
「すまないな。じゃあ、いただくとするよ」
 
 翔子はキッチンに戻り、レトルトパックのかゆを温めたものを器に移した。

 パジャマ姿の新多がキッチンに入ってくる。
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