一緒に暮らそう
新多は熱いかゆを口に運んだ。可も不可もない味だ。
投稿論文を執筆している時に、紗恵が夜食で作ってくれた卵がゆを思い出した。シンプルな料理を作るにしても、彼女はなんと旨いものを作るのだろう。あのあっさりとした優しい味が懐かしい。
「おいしい?」
翔子がたずねる
「ああ」
せっかく同僚が作ってくれたものを、あの卵がゆと比較しては申し訳ない。
「それにしても、垣内さんも冷たいわよね。一回くらい、彼氏の所に顔を見せにくればいいのに」
「言っただろ。彼女には来るなと言ってある。体を酷使する仕事なんだ。うつったら困る。お前にだって来てもらう必要はない。どうしても渡したい書類があると言うから家に上げたんだ」
「友達なら普通は心配になって様子を伺いたくなるものなのよ。彼女ならなおのことだわ。私が彼女だったら無理にでも会いにくるんだけどな」
「紗恵は遠くに住んでいるんだ」
「私だったら遠くからでも会いに行くわ。大事な人が病気なのよ」
「翔子。彼女のことをとやかく言わないでくれ」
「ごめんなさい。私はただ自分のケースに当てはめて言っただけよ」
「すまない。これを食べ終わったら帰ってくれないか。しばらくまた休みたい」
「ええ、ええ。わかったわ。そろそろお暇するわ」
新多は疲れをおぼえた。
自分だって紗恵に会いたい。けれど彼女に迷惑をかけることはできないのだ。
投稿論文を執筆している時に、紗恵が夜食で作ってくれた卵がゆを思い出した。シンプルな料理を作るにしても、彼女はなんと旨いものを作るのだろう。あのあっさりとした優しい味が懐かしい。
「おいしい?」
翔子がたずねる
「ああ」
せっかく同僚が作ってくれたものを、あの卵がゆと比較しては申し訳ない。
「それにしても、垣内さんも冷たいわよね。一回くらい、彼氏の所に顔を見せにくればいいのに」
「言っただろ。彼女には来るなと言ってある。体を酷使する仕事なんだ。うつったら困る。お前にだって来てもらう必要はない。どうしても渡したい書類があると言うから家に上げたんだ」
「友達なら普通は心配になって様子を伺いたくなるものなのよ。彼女ならなおのことだわ。私が彼女だったら無理にでも会いにくるんだけどな」
「紗恵は遠くに住んでいるんだ」
「私だったら遠くからでも会いに行くわ。大事な人が病気なのよ」
「翔子。彼女のことをとやかく言わないでくれ」
「ごめんなさい。私はただ自分のケースに当てはめて言っただけよ」
「すまない。これを食べ終わったら帰ってくれないか。しばらくまた休みたい」
「ええ、ええ。わかったわ。そろそろお暇するわ」
新多は疲れをおぼえた。
自分だって紗恵に会いたい。けれど彼女に迷惑をかけることはできないのだ。