一緒に暮らそう
「ついでに言うと、あんたは最近元気がない」
「やっぱわかります?」
「どないしたんや」
「ちょっと私的なことですよ」
「プライベートは立ち入り禁止か?」
「まあ、そこまでがっちり隠すことでもないんですけど」
 
 中山さんは言葉を継ぐ。
「言うたやろ、僕には何でもお見通しや。あんたは今、恋愛沙汰で悩んでんねん。図星やろ」
「参りましたね。またビンゴです」
「彼氏と上手くいってへんのかい」
「そういうわけじゃないんですけど、電話もしますし。ただ、なかなか会えないんです。彼は今、とても忙しくて」
「そうか。あんたのような若い女の子にはありがちな悩みやな」
「中山さんからしたらつまらない悩みですよね」
「つまらんことあらへんで。大事な問題や。僕かって同じ立場やったらモヤモヤするわ。それにしても、あんたみたいな可愛い女の子に寂しい思いをさせるなんて、けしからん彼氏やな。僕があと20歳若かったら、あんたを口説いてそいつから奪うんやけど。いや、10歳でもええ」
 それを聞いて紗恵が笑う。
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