【完】君と流れ星を。

「梨紗……」


春の風がいたずらに彼女の髪を舞い上げ、それをかき上げる仕草。

同じ制服、同じ場所に彼女は佇んでいた。



……落ち着け。

あいつはここにはいないし、俺も高校生じゃない。


あれはもう15年以上前の出来事なんだ。


頭ではわかってる。
そんなことくらい。



深呼吸する。

もう一度、窓の外を見る。

そこにはもう、彼女はいなかった。


桜だけがあの日と変わらず舞い続ける。

ただでさえ憂鬱な春の日に、俺は苦い初恋を思い出さないわけにはいかなかった。


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